SPECIAL CONTENTS

REPORT No.53

Monthly Pitch「7minutes」スタートアップを応援する熱い自治体(STA-Mem47)
No.1 福岡県 山岸 勇太 氏

2021/06/08

これまで毎月水曜日に配信されてきた「SCI-Jウェビナー~スタートアップシリーズ~」のうち、最終水曜日を「Monthly Pitch“7minutes”~五方よしスタートアップが持続可能な日本をつくる!~」としてリニューアルします。
Monthly Pitch”7minutes”では、スタートアップを応援する熱い自治体を【STA-Mem47】と呼び、各回ご参加頂きます。
そんな【STA-Men47】をご紹介する第一弾、福岡県の山岸 勇太氏にインタビューを行いました。

これまで毎月水曜日に配信されてきた「SCI-Jウェビナー~スタートアップシリーズ~」のうち、最終水曜日を「Monthly Pitch“7minutes”~五方よしスタートアップが持続可能な日本をつくる!~」としてリニューアルします。
Monthly Pitch”7minutes”では、スタートアップを応援する熱い自治体を【STA-Men47】と呼び、各回ご参加頂きます。
そんな【STA-Men47】をご紹介する第一弾、福岡県の山岸 勇太氏にインタビューを行いました。

4つのエリアからなる福岡

 福岡県は511万人という全国9位の人口を擁しています。福岡市と北九州市の二つ政令指定都市のほかバイオベンチャーの育成に力を入れている久留米市、ブロックチェーンストリートのある飯塚市の大きく4つのエリアがあります。
 山岸氏は福岡県の職員として福岡県のベンチャーを支援するフクオカベンチャーマーケット(FVM)を担当するほか、九州各県等と連携し九州・山口ベンチャーマーケット(KVM)を開催し、九州のスタートアップエコシステムを牽引する一人として活躍されています。
 今回は、そんな山岸氏の取組みをお伺いするとともに、日ごろどのような想いで事業に取り組んでいらっしゃるのかをお聞きしました。

フクオカベンチャーマーケット(FVM)

――それぞれの地域にテーマ性があるのはすごいですね。福岡はスタートアップ支援を全国の自治体の先陣を切って取り組んでいると思うのですが、山岸さんが運営されているフクオカベンチャーマーケット(以下FVM)は一体どういったものなのでしょうか。

 FVMは1999年から始まった福岡県が直轄で行っている、福岡のベンチャー支援の事業です。簡単に言うと、スタートアップやベンチャー企業を支援しながら、地元の大企業や金融機関とマッチングしたり、一緒に事業を行うためのプラットフォームを構築しています。県内ベンチャーだけでなく、日本全国・海外ベンチャー企業も参加して、毎月多くのベンチャー企業がピッチの舞台に立っています。

 FVMは20年間事業が継続している点が素晴らしいと思いますが、今では福岡市や民間企業もスタートアップに目を向けて、同じような取り組みを始めているので、継続は勿論ですが、「いかに時代に合わせたベンチャー支援に取り組んでいくか?」が課題となっています。

フクオカベンチャーマーケット(FVM)

FVMの実績

画像2列
画像2列

出所)FMV HP (ABOUT FVM)より

福岡県内に限らず、九州・国内・海外のスタートアップ支援まで取り組む

 福岡県だけでやっても大きな流れにならないので、九州全体を引っ張って、日本全体にインパクト与えたいと思っています。
 ベンチャー支援を担当して5年目ですが、若い起業家がたくさんで出てきていてやりがいを感じています。福岡は都会といえども、地方なので大きい資金調達を受けられる機会があまりありませんでした。そのため、J-startupに認められた九州大学発のベンチャー企業QPS研究所が資金調達額累計約33億円の大きな資金調達を成功させた際は「こういうことをやるためにベンチャー支援をやってきたんだ」と、とても嬉しくなりました。

 IPO数ばかりを気にするのではなく、世界で戦うような世の中に大きなインパクトを残し、社会を変えるようなところが出てきてほしいと思っています。それはベンチャー企業に限らず、中小企業でも何でも形態は問いません。今まであまり注目されていなかったけれど、九州にはすでに世界で戦っている中小企業が多くあります。そのような会社はうまくやればきっともっと社会に大きなインパクトを残せると思っています。そのためにも、事業承継や新事業創造も取り組んでみたいと思っており、色々新たな取組みも始めています。

QPS研究所

なぜNTT西日本から福岡県庁に?

 NTT時代も通信やITで世の中に大きなインパクト残せると思い、大企業に入社し働いていました。

 しかし、大きな会社なのでやることが限られているし、勤務地や仕事内容が2年に1回変えられてしまい、今までやってきた仕事と全然違う仕事をやることになったり、自分で自分のやりたいことを選べない状況下にありました。そんな時にちょうど福岡県庁で採用募集が出ており、私の妻が福岡県出身であることやNTT時代に各県庁のSEとして働いていた際に自治体で生き生きと働いている人たちを見て「素敵だな」と思っていたこともあり、採用募集に応募し働くことになりました。

全国の自治体に対し思っていること

 福岡に限らず、九州や日本全体の支援者のみなさんとともにベンチャー支援をやっていきたいです。最近も仙台市さんの支援のやり方で、「マネしたい!」と思うところがありました。全国で取り組んでいる自治体の皆さんがそれぞれの良いところを共有し全国の取組みがアップデートされ、取組みのレベルが上がっていったら良いと思っています。

画像中央寄せ1列

山岸 勇太 氏

福岡県商工部 新事業支援課 創業支援係 事務主査
一般社団法人ベンチャー型事業承継 エヴァンジェリスト

1982年石川県小松市生まれ。2005年法政大学工学部を卒業後、NTT西日本に入社。自治体向けSE、家庭向け電化製品の開発及びサービス企画・開発に従事。
2013年福岡県庁民間中途採用枠で入庁。現在は、スタートアップ支援担当として、福岡・九州から世界に通用するスタートアップエコシステムの構築に従事。
2016年からは「九州・山口から世界に翔ばたくベンチャーを創出」を目的とした、「九州・山口ベンチャーマーケット」を主催。