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REPORT No.15

スタートアップが意外と知らない「PoCの真実」(第2話)

2020/08/06

PoC(Proof of Concept:概念実証)は事業の確度を高めるうえで非常に重要な手段だが、フィールドや協力企業が見つからず、有効なPoCが実現できずに困っているスタートアップが多い。
こうした課題を解決するため、我々は「スタートアップ」と「大企業・地域の中核企業」、「自治体」が共創するイノベーションプラットフォームを構築し、PoC型アクセラレータ・プログラム「MURCアクセラレータLEAPOVER」を開催している。
本連載では、我々が過去3期にわたり開催したPoC型アクセラレータを通じて知り得た、オープンイノベーションの成果を得るために必要なポイントを、関係者へのインタビューを通してお伝えする。
大企業との協業を望むスタートアップはもちろん、オープンイノベーションに取り組む大企業や自治体の方々にもご一読頂きたい。

PoC(Proof of Concept:概念実証)は事業の確度を高めるうえで非常に重要な手段だが、フィールドや協力企業が見つからず、有効なPoCが実現できずに困っているスタートアップが多い。
こうした課題を解決するため、我々は「スタートアップ」と「大企業・地域の中核企業」、「自治体」が共創するイノベーションプラットフォームを構築し、PoC型アクセラレータ・プログラム「MURCアクセラレータLEAPOVER」を開催している。

本連載では、我々が過去3期にわたり開催したPoC型アクセラレータを通じて知り得た、オープンイノベーションの成果を得るために必要なポイントを、関係者へのインタビューを通してお伝えする。

大企業との協業を望むスタートアップはもちろん、オープンイノベーションに取り組む大企業や自治体の方々にもご一読頂きたい。

第1話はこちらから

ロボット工学スタートアップSE4×三菱電機×滝沢市

SE4はロボット遠隔操作技術開発のスタートアップだ。LEAP OVER第3期プログラム期間中、パートナー企業の三菱電機と協力自治体の滝沢市の協力を得て、ショベルカーの遠隔操作による除雪作業のPoCを実現した。
 

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Pavel Savkin氏(SE4 CTO & Co-founder)(中左)
山中 聡 氏 (三菱電機株式会社 デザイン研究所 未来イノベーションセンター グループマネージャー )(左)
峯藤 健司 氏(三菱電機株式会社 デザイン研究所 未来イノベーションセンター マネージャー)(右)

Interview:杉原美智子(三菱UFJリサーチ&コンサルティング LEAPOVER事業統括)(中右)

ポイント4 パートナーとして信頼関係を築いているか?~依存関係ではなく信頼関係を

【杉原】ここまでのお話では、PoC実現に向けては①これがやりたいという強い「Will」、②スピード重視でやらない事を決める、③成果に拘る、という事が重要だと伺ってきました。ここからは、成果に繋げるために何が重要だったのかについてお聞きしたいと思います。

【山中】私は行動を共にし、議論をする中で選択肢を削っていけたことが重要だったと思います。一般的なPoCは契約書などで定められた内容に基づいて取り組むことが多いと思いますが、LEAP OVERの場合「どんなPoCをやるのか?」といった設計段階からスタートします。約4ヶ月という限られたプログラム期間の中で、共に「やること」と「やらないこと」を決めていくプロセスもPoCの一環であると捉えられたことが良かったと思います。もし、契約書で定められた内容に則って進めるようなやり方をしていたら、今回のような充分な成果は得られませんでした。

【サフキン】我々は本当に「自分たちがやりたいこと」に集中していました。当時、マルチタスクができる状況になく、やりたいことをやるのが精いっぱいだったという事情もありますが、三菱電機さんはそういった我々のスタンスを理解し、信じてくれました。また、三菱電機さんは「壁打ち」相手ではなく、常に我々と「キャッチボール」をしてくれました。つまり、我々が投げたボールを受け止めて、考えてから返してくれました。常に並走して頂き、何度もミーティングを重ねるうちに、一緒に事業をやっているようなOne Teamの感覚が得られました。その結果としてPoCのクオリティが上がり成果に繋がったのだと思います。

【峯藤】PoCで大事なことは相手に合わせに行く事ではなく、自分たちがやりたい事に拘ることです。スタートアップの仮説が大企業に受け入れられるかではなく、仮説が正しいかどうかを見極める事が大切なのです。我々は、スタートアップの提案がいつの間にか大企業の困りごとを解決する「受託提案」のようになって欲しくないのです。その点、SE4さんは課題に直面した際、我々に対し「どうしたら良いか?」を問うのではなく、自分たちで考え、その答えをぶつけてきました。SE4は我々のことを自分たちの仮説を検証するためのパートナーと捉えていたと思います。


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左から山中氏(三菱電機)、Savkin氏(SE4)、峯藤氏(三菱電機)

ポイント5 とにかく1回やり切ってみること~その一歩目を描けた事に意味がある

【杉原】そもそもSE4さんのビジョンや「Will」への共感があったからこそ、同じゴールを目指すパートナーとして互いに信頼関係を構築し、さまざまな課題を乗り越え、PoCを実現することができたという事がよく理解できました。そのほかにも成果に繋げる上で重要な点はありますか?

【山中】4ヶ月というプログラム期間の中で実際に実現できるPoCを描けたことも良かったと思います。BootcampでSE4さんから話を聞いた当初、我々は彼らのビジョンの大きさに魅力を感じる一方で、実現に向けたロードマップが描けていない点に課題を感じていました。今回、PoCを通じてSE4さんと共に現実的な1歩目を描けたからこそ、我々は2歩目3歩目も一緒にやって行こうというスタンスになれるのです。できる事をしっかりやり切ることが重要です。実現できるが少し頑張らないといけない位のところをPoCのゴールに設定することが大事だと思います。

【峯藤】今回のような実機(ショベルカー)を使ったPoCは分りやすい成果になります。我々が社内で事例を紹介する際にも、「これができます」や「これができました」というファクトやエビデンスになり、社内の議論を深めることができます。単なるPoCで終わらせず、次に繋げていくためにも、とにかく1回やり切ったという実績が重要だと考えます。


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左から峯藤氏(三菱電機)、山中氏(三菱電機)、Savkin氏(SE4)

【サフキン】今回、PoCをやり切った事で、我々の技術を鉱山や建設現場に応用していくにあたっても、実機を使ったPoCの実績がエビデンスになります。当時、まだまだ我々の技術に未熟さがありましたが、実機を使った雪かきのPoCを開発する過程で課題解決の技術スタックがより明確になりました。本PoCの実現により、確かな事業成長・技術成長があり、重要な1歩となりました。また、個人としても、今回のPoC全体を通して様々な知識が身に付き、考え方も変わりました。以前はできなかったことができるようになり、成長を実感しています。
 

中央画像

Pavel Savkin氏(SE4 CTO & Co-founder)

次回、第3話に続く。

PoC概要「重機の遠隔操作による除雪作業」

SE4が開発を進めているロボット遠隔操作技術を搭載したショベルカーを用いて遠隔操作による除雪作業を施行。
パートナー企業の三菱電機においてオープンイノベーション推進を担当する未来イノベーションセンター、協力自治体である滝沢市のコミュニティスペース「ビッグルーフ滝沢」に会場提供及び協力を頂き、実際の作業環境を想定した屋外の現場にて、実機を稼働させる初の試みを実現。
個人商店の駐車場等除雪車を使用することができないスペースは人により除雪作業が行われており、重労働。今回は除雪作業の自動化実現性と業務効率化等の効果について検証し、厳しい環境下での作業自動化のニーズについて確認。

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会社名 株式会社エスイーフォー
本社所在地 東京都台東区
代表者 代表取締役 Lochlainn Wilson
事業概要 時間や距離を超えて人とロボットが協働するシステム構築をすることをビジョンに 、ロボット遠隔操作の技術開発を行う
会社名 三菱電機株式会社
本社所在地 東京都千代田区
代表者 執行役社長 杉山 武史
事業概要 デザイン研究所 未来イノベーションセンターでは未来志向の研究開発や、スタートアップとのオープンイノベーションを推進する